理事長挨拶

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繁桝算男(日本テスト学会理事長)

 

皆様ご承知のように、日本テスト学会の初代の理事長は池田央先生です。その後を柳井晴夫先生が引き継がれ、三代目の理事長という大任をお受けすることになってから3年経ちました。池田先生は、テストに関する統計的側面、および、実践的側面に精通されており、日本におけるテストの理論と実践的方法の水準を高めるべく、この学会を構想され、実現されました。そのあとの柳井先生は、多変量解析の発展に多大な貢献をされた方ですが、テストについて非常に強い関心を持ち、長年の間大学入試センターに勤められ、適性検査や大学入試についても大きな業績を残されています。自らの研究においても、テスト学会の発展のためにもやるべき多くのことを考えていらっしゃったはずですが、2013年に逝去されました。そのあとの理事長の職務を私が継ぐことになったのですから、理事長としての役割の重要さは強く認識しているつもりでした。しかし、この3年間、大きな国際大会の運営に関わるなどの事情が重なり、自分の思いも空回りした感があります。しかし、もう一期、理事長の職務をお引き受けすることになりました。これからも、テストに関する研鑽の場としてテスト学会が今まで以上に機能するように、会員の皆様のご協力を得て、今回選ばれた理事の方々と共に精一杯努力していきたいと思います。

テスト学会は、テストに関する理論的実証的研究や、社会に役立つ実践的研究のための学会です。テストに絞ったという意味で、日本でも珍しいタイプの学会ですが、テストに特化するとしても、テストに関わる事柄は多面的です。テストができるまでに、設計、開発、頒布のプロセスがあり、また、テストを使うにも、実施、採点、評価、結果の分析のプロセスがあります。また、テストが測定しようとする対象も、能力、学力、性格、態度、行動など多岐にわたります。これらの諸側面において、テスト学会が真に役に立つ知見を社会に提供することが、テスト学会の目標です。役に立つ知見の提供には、優れた実践的探究と、科学的、数理的、理論的研究がともに必要とされます。たとえば、教育や臨床におけるテスティングについて現場的な発想や実情を伝える記述的研究も必要ですし、テストアセスメントの科学的裏付けを与える数理統計学的な理論研究も必要とされます。また両者のアプローチの相互作用も歓迎すべきです。たとえば、既存の情報科学や統計学の先端的発展をテストという実践の場に応用するという方向性と、テストの開発や適用の観点から生じる問題関心が数理的科学の理論的発展を促す場合もあるでしょう。

理事長としての2期目にやるべきこととして、3年前と変わらず、次の4つの目標を掲げたいと思います。

1.テスト学会の国際化:日本におけるテストの研究者や実践者が、自分の研究や実践を世界に発信し、各国の研究者や実践者と協力し、グローバルな活躍をすることを促進する場とします。たとえば、日本テスト学会は、International Test Commission(ITC)の賛助会員となりましたが、このテストに関する国際組織において、日本テスト学会のプレゼンスを高めたいと思います。

2.テスト学会の規模の拡大:現代社会が抱える問題の解決の助けになるためには、テスト学会が社会的影響力を持たなければなりません。そのための一つの有力な手段は、会員数を増やすことです。そのために具体的にどのような活動をすればよいかを考え、実行します。

3.テスト学会の広報活動の充実:テスト学会が、社会とのつながりを強めるために、学会誌、ホームページをさらに充実させます。

4.年次大会の充実:テスト学の創造的な発展は書斎からではなく、異質集団における交流から生まれることが多いと思います。毎年開催される大会が会員にとって魅力のある、より多くの会員および非会員が集まる場になるように、大会を担当する実行委員会と理事会が協働し、具体策を講じます。

このような方針については、常に柔軟に会員の皆様のご意見を尊重しつつ、臨機応変に方向性を定めたいと思います。会員の皆様からの率直なご意見を期待しています。